無駄やゴミを無くす(減らす)「ゼロウェイスト」という考え方・価値観・取り組みをご存じですか?
ゴミに関する問題提起としては、埋め立て地の限界や、焼却時に発生するCO2、海洋ゴミ問題など、さまざまな課題が挙げられますが、そもそもゴミを減らし、無駄を無くしていく取り組みが注目されています。
今回は、そんな「ゼロウェイスト」についてご紹介します。
実際に「ゼロウェイスト」の取り組みを実践されている方への取材もしましたので、ぜひ最後までお読みください。
ゼロウェイストとは

ゼロウェイストとは、1996年にオーストラリアのキャンベラ州で誕生した「ゴミや無駄を無くす」ことを目指す行動や考え方です。
日本では2003年に徳島県上勝町が日本の自治体として初めて「ゼロウェイスト」を宣言し、2008年よりカリフォルニアのベア・ジョンソン氏がアメリカ国内外へと広める活動を開始し、現在では世界中で取り組まれています。
地域社会としてゼロウェイストを実現するためには、個人の生活レベルでのゼロウェイストへの取り組みも重要です。
本記事では、「環境のためにゼロウェイストを!」というよりも、個人レベルで「ゼロウェイストを生活に取り入れるとどんなメリット、デメリットがあるか」を解説していきます。
ゼロウェイスト生活のメリット

ゼロウェイストのメリットというか、価値や意義としては、もちろん「温室効果ガスの削減をはじめとする環境への配慮」となりますが、ここでは個人の生活にとってのメリットを挙げていきます。
節約を実現できる
ゴミ袋が有料という自治体も多い中、ゴミの量を減らせばそれだけ節約につながります。また、ゼロウェイストにおける「必要なものを必要なだけ」という考え方は、買いすぎや無駄買いを減らします。これも節約を実現する一助となります。
丁寧なくらしを送ることができる
生ごみはコンポストなどで堆肥化したり、プラスチック容器は丁寧に洗って資源にしたり、細かく分別したりすることで、おのずと生活が丁寧になっていきます。
また、インスタントや使い捨てから離れることで「くらし」に時間と手間をかけ、目を向けられるようになります
ものを大切にする意識が生まれる
ゴミを出さないようにしよう、という意識で生活することで「ものを大切にする意識」が強くなっていきます。こまめにメンテナンスしたり、壊れてもすぐ捨てずに修理したりして使い続けることで、ものへの愛情も生まれます。
ゼロウェイスト生活のデメリット

ゼロウェイスト生活を送る上でのデメリットについても、まとめました。
時間や手間がかかる
ゴミの分別、もののメンテナンス、インスタントや使い捨てを頼らない、これらを実現しようとすると、どうしても時間や手間がかかります。
それを楽しめるだけの余裕があれば良いのですが、忙しい方にとっては少々ハードルが高いかもしれません。
どこまでやるか問題
ゼロウェイストといっても、ゴミや無駄を完全に「ゼロ」にするのは実質不可能と言っても過言ではない中で、「どこまでやるか」という線引きが難しいのもデメリットと言えるかもしれません。義務感に駆られて、ゴミを減らすことがストレスとならないよう、自分の中で楽しく快適にできるラインを見極めるのがポイントです。
誰でもできるゼロウェイスト生活の初めの一歩
「ゴミや無駄を無くす」というとハードルが高く感じられるかもしれませんが、ちょっとだけ日々の生活や意識を変えるだけでゼロウェイストに貢献できる取り組みがあります。
今日からできる簡単なゼロウェイスト生活の始め方をご紹介します。

資源になるものをゴミにしない(分別をしっかり!)
プラスチックの空き容器や、ビン・カン・ペットボトル、紙類など、資源として再利用できるものを「可燃ゴミ」にまとめず、しっかりと分別するだけでも、ゼロウェイストに貢献できます。
自治体により分別の基準はさまざまですが、多くの自治体が「汚れのついた容器は可燃ゴミ」と定めています。洗うのが面倒だからといって何でもかんでも可燃ゴミに捨てず、ちょっとひと手間かけて洗って干して、資源に回してみませんか?
マイバッグやマイボトルを活用する
レジ袋が有料化してからマイバッグを持ち歩く人が増えました。
マイバッグやマイボトルを活用することで、包装用の袋やドリンクボトルの無駄を出さずにすみます。
生鮮食品、とくに肉や魚などをマイバッグに入れる場合は、菌の繁殖を防ぐために定期的に洗濯して清潔に保つことを意識しましょう。
レンタルできるものはレンタルで済ませる
なんでもかんでも買うのではなく、レンタルで済ませた方が良いものはレンタルするというのも無駄を無くすのに有効です。
最近は洋服もサブスクでレンタルできるサービスがありますが、「自分のもの」としてずっと手元に置いておく必要がないものや、数回しか使わないものはレンタルすると経済的ですし、ゼロウェイストにも貢献できます。
損得で考えず必要なときに必要な分だけ購入する
ゼロウェイストを実現する上で意外と大切なのが、この考え方です。
「まとめて買うとお得」「今買えば安い」という謳い文句に、私たちはついつい魅力を感じてしまいますが、「お得」という言葉に手が伸びる前に「これって本当に必要?」と考えることが大切です。必要なタイミングで、必要な分だけ買うことで、将来の無駄やゴミを減らせます。
パッケージレスの商品を選ぶ
最近は、ラベルレスのペットボトルを目にすることも増えてきましたが、ラベルやパッケージの無い商品を選ぶのもゼロウェイストに効果的です。
過剰包装されていないもの、量り売りで買えるものなど、なるべくパッケージが少ないものを選択すると、ゴミの分別や処理の手間も減り、快適です。
ゼロウェイストに取り組む愛知県瀬戸市のエラマーセト
ゼロウェイストについて調べる中で、愛知県瀬戸市でゼロウェイストの取り組みをおこなう「elämää seto(エラマーセト)」というお店を見つけたので、店主の野﨑由衣(のざき ゆい)さんにインタビューをさせていただきました。

elämää seto(エラマーセト)
愛知県瀬戸市の商店街の「うらにわ」に佇む店舗には、量り売りのドライフルーツやナッツ、スパイス、乾物などが並びます。容器を持参し、欲しいだけ入れて買っていくスタイルで「ゴミを出さない」買い物を実現するエラマーセト。他にも、海を汚さない洗濯洗剤や、スポンジ、ブラシなどの日用品も扱っています。カフェも併設されており、豊かなひと時を過ごすこともできるのが魅力です。

野﨑 由衣(のざき ゆい)さん
愛知県瀬戸市出身で、大学卒業後、電機メーカーやアパレルの仕事を経て、4人のお子さんの出産と育児のために一時専業主婦に。その後、せと・しごと塾で起業のイロハを学び、2023年にエラマーセトを開業。現在は、店舗経営のみならず、ゼロウェイストを軸にイベントを主催するなど、子育てと両立して精力的に活動中。
―野﨑さんが「ゼロウェイスト」を知ったきっかけを教えてください。
息子が通う小学校では、自分で研究テーマを見つけて探求していくという教育を実施しているのですが、水族館で見かけた「プラスチックごみ」の展示に息子が興味を持ったのがすべてのはじまりでした。息子が「プラスチックごみを減らすにはどうしたらいいか」を研究テーマに選ぶと、学校の先生が『プラスチック・フリー生活』という本を紹介してくれて、そこで初めて「ゼロウェイスト」という言葉を知りました。
その本を翻訳された服部雄一郎さんという方が翻訳した『ゼロ・ウェイスト・ホーム』というベア・ジョンソンさんの著書を読み、ゼロウェイストの考え方や生き方への理解を深めていきました。
―そこから「ゼロウェイスト」のお店を立ち上げるに至った経緯は?
息子の研究のために、我が家で出るプラスチックごみの量を可視化してみたことがあったんです。リビングに2週間分のプラスチックごみを並べてみたら、床を埋め尽くすほどの量で、私自身がびっくりしてしまって。

こんなにゴミを出しているんだ、と衝撃を受けると同時に「自分にも何かできることは無いか」と考え始めました。
ちょうど、子どもたちが学校に通うようになり、自分の時間や人生をどう過ごしていくか考えていた時期だったので、まさに「これだ!」と思って行動に移したという感じでした。
―野﨑さんご自身もゼロウェイストな生活を実践されているのですか?
ゼロウェイストって、価値観や考え方、目標みたいなものなので、明確に「これがゼロウェイストな生活だ!」というものは無いのですが、やはりゼロウェイストについて学ぶ中でゴミを減らす、出さない生活は心がけるようになりました。とはいえ、まだ手のかかる子どもたちを育てる中で、ゴミをゼロにするなんて不可能なので、まだまだだなと痛感する日々です(苦笑)
でも、プラスチック容器を洗って資源に出したり、生ごみを乾かして堆肥化したり、という「ひと手間」が心地よく、ゴミとして捨てるのではなく資源として送りだせた!という感覚がなんとも気持ちよいな、と感じます。
―お店を始めてからの反響や、地域の人々の変化などはありましたか?
お店を始めて2年半ほどになりますが、地道にSNSで発信を続けているうちに、じわじわと応援してくださる方が増えているな、とありがたい気持ちです。
お客様皆さんがゼロウェイスト思考かというと、決してそんなことはなく、起業した子育て中のママという点に興味をもってくださった方もいれば、単純にドライフルーツやスパイスなどを気に入ってくださった方もいますし、もちろんゼロウェイストに興味関心があってという方もいます。SNSで活動を知って遠方からお越しくださる方もいて、少しずつ輪が広がっていくのが嬉しい今日この頃です。
ゴミ拾いイベントなどを通して地域の皆さんにも徐々に認知されるようになってきたと思いますが、まだまだこれからも積極的に発信や活動をして広げていきたいです。

―野﨑さんにとってゼロウェイストとは?
私にとってゼロウェイストは、ストイックにおこなうものではなく、「豊かになるために、楽しみながら生活に取り入れていくもの」です。
ゼロウェイストという言葉にはあまり聞き馴染みのない方も多いと思いますが、ミニマリストやシンプリスト、あとは断捨離といった考え方に共通するところも多いように感じています。
それぞれ微妙な違いはあるものの「余計なもの、無駄なものを省き、人生を豊かにする」という点は共通しています。ゼロウェイストもこの考え方と親和性があり、ただゴミを無くす、減らす、というよりも「自分の生活や人生を豊かにする」という考えをベースに、ゴミや無駄をなくしていくという価値観が、私はとても好きです。
まとめ
ゼロウェイストの取り組みをおこなう『エラマーセト』の野﨑さんからも、素敵なお話を伺えました。
無理しておこなう大変なことではなく、豊かさや楽しさを感じながら未来のためにおこなうちょっといいこととして、ぜひゼロウェイストを始めてみてはいかがでしょうか?
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